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臼井「起業ブームと言われて久しいですが、この状況をご覧になって、いかが思われますか?」

沼田「起業の反対にサラリーマンというのがいると思うんですが、私は自分自身がサラリーマンに向かないというのがわかっているんですね。かと言って、経営者にも向かないんですが(笑)」

臼井「微妙ですね(笑)。何が向いているのかと言うと...」

沼田「ですから、私の場合は最終的な答えは『プランナー』だと思うんですが、特殊な存在なもんですから、普通の人が『自分はサラリーマンには向いていない』と言っているのを聞くと、そうでもないよと思ってしまうんですけどね。」

臼井「なるほど。」

沼田「私は、起業ブームというのは、その振り分けを行うためのものではないかと思っているんですね。実際、一度起業してみるとわかると思うんです。自分が指示を出せる人間かどうか、あるいはサラリーマンが向いているのか。指示されることを必要としている人は、やっぱりサラリーマンの方がよい。で、サラリーマンというのは給料が高いですから、別に悪いものじゃあない。」


臼井「実はそうなんですよね。うまくいっている一部の経営者を見ると、時間も自由だし、高給取りだし、いいよなあなんて思いがちですが、実は時間ないし、忙しいし、それこそ夢の中でも企画書を書いたり、もの作りをしてる。だからね、私もよく思うんですが、そんなに起業したいならしてみればいいよ、と。まあ3日もたないでしょう。ブーム自体は悪くないと思うんです。おっしゃるように、自分は何に向いているのか、考え方が経営者よりなのか、非雇用者よりなのか、判断のきっかけにはなりますよね。」

沼田「サラリーマンしか知らないで、文句ばっかり言っているよりは、一度経営者になってみて、経営者も実は大変なんだな、とわかった上でサラリーマンをやった方がいいでしょうしね。」

臼井「実際に起業して、今や1円で会社を興せるし、融資も降りやすいし、起業するにはいい状況がそろってきてますよね。ただし、問題は続けることができるかどうか。」

沼田「あともうひとつ、起業するときに何をしたいか、というのを持ってない人が多いんじゃないでしょうか。それは違うと思いますね。」

臼井「何をしたいの?という質問をすると、起業したいです、と。いや、起業して何をするの、と尋ねると、お金儲けがしたい、なんて。それは悪くないんだけど、そのための手段に何をして、どこを目指すのか、というのできていない。」

沼田「もうひとつ、私が気になるのは、単方向でしか物事を考えていない人が多いんですよね。商売をやるにしても、お客さまがあっての話だから、双方向から考えないといけないのに、そんな当たり前のことが頭から抜け落ちていたりして。」

臼井「思いだけ妙に強くてね、さらにお金を持ってたりすると始末に負えないですね。」

沼田「そういうものじゃないんですよね。」

臼井「先日、木戸さんとお話しした時も出たんですが、知識よりも知恵があって、この世界ではアマチュアなんだけど、ユーザーとしてこの世界の商品は利用していた、だから善し悪しはわかるという人の方が成功できるんですよね。両面を見ることができるから。」

沼田「客としての立場で物をみることができなければ、売る側には当然なることはできませんよね。」

臼井「そして、バランスが悪くなってもいけない。」

沼田「両方向から見る感覚がないと、成功はできないと思います。サラリーマンだと、そういう視点は必要なかったりするんですよね。」

臼井「そこそこあれば十分ですからね。」

沼田「両方向の視点で考えて決まった方向性が上から降りてくるわけですから。」

臼井「耳の痛い方、多いんじゃないでしょうか? 私なんかも思い当たることがあるんですが(笑)。新しい商品を開発する時なんかがそうなんですよ。自分では満足いくものができるんだけど、果たしてそれがお客様から見てどうか。これが一番難しい。相手の立場に立って考えろ、って社員には言うんですが、よほど覚悟がないとできないですよね。」

沼田「自分の“気持ちいい”が、お客様の“気持ちいい”とイコールだと勘違いしてしまうんですよ。」

臼井「そのブレが埋まらないままに走ってしまうとなかなかね...」





臼井「では、今後のご予定などを教えていただけますか。」

沼田「近々はちょうど谷間なんですね。いろんなものが一段落して、セミナーの予定もしばらくないし、本は仕掛けている最中だし...」

臼井「充電中ってことですか?」

沼田「そうですね。今はおっかけ過ぎて見落としていたものをもう一度探すと言うか、おもしろいものをみつけていこうというところですね。あとは自分史。おもしろそうだなぁ、なんて(笑)」

臼井「おもしろそうですよね。自分史ってね、経営者として生きたなら、それがどんな小さな会社であれ、どんな片田舎の会社であれ、2冊は書けるらしいですよ。」

沼田「ほう。」

臼井「1冊は自分の生き方、経営者の哲学。もう1冊は人間関係。ということは、会社なんてそれこそ星の数ほどあるわけですから、すごい需要ですよ(笑)」

沼田「ははは。そう考えるとすごい市場ですね(笑)。私が今関わっているのは、人間関係の中の“伝える”という部分をライティングでやっているんですが、伝える相手がいるというのが前提なんですね。で、それが再率しているのは経営者なんですよね。起業家相手のライティングをやろうと思ったこともあったんですが、相手がいなくてやめました(笑)」

臼井「もうちょっと経ってからだといいかもしれませんね。流れがないとは言いませんが。」

沼田「話がちょっと戻ってしまいましが、起業志望の方たちにやりたいことを聞いていくと、リタイア後の夢みたいな話になっちゃって。疲れてるんだろうなぁ、なんて(笑)。その点、経営者はいろいろなものを持ってますよね。」

臼井「10人経営者がいるとすれば、10人の生き方があって、似ているようでも考え方が全然違う。おれもそうだったし、若いうちは失敗なんていくらでもすればいい、って言ってる方が実は細かく計画を立てて実践する人だったり、私は綿密な計画を立てて実行していくタイプです、って言ってる方が実はとってもアバウトだったり。さっきの話じゃないですけど、インタビューしてその人をどんどん知っていくと、外から見えていたのと全然違う人だなってことがわかったりしして。だから、“経営者市場”っておもしろいと思いますよ。」

沼田「なるほど。まあ、自分の中では“充電中”ではあるんですが、今年いっぱいの目標としては、発行部数10万部の本を作るというのがあります。昨年は3万部が目標だったんですね。で、今年が10万部。来年は100万部を実現したいと思っています。」

臼井「すばらしいですね!」

沼田「実は、去年出した本で10万部近くいってしまって、非常に驚いたんですが(笑)」

臼井「そうなると、ハードルはどんどん高くなっていく...?」

沼田「それは偶然だと思ってますので、今度はまったく別のジャンルで10万部の本を出そうと。これはなかなか難しいですよ。今はその仕掛けをやってるところです。」

臼井「勝算はいかがですか?」

沼田「10万部を狙って出せるようになって、初めて100万部を出せると思うんですよね。いきなり100万部の話をする人とかいますけど。」

臼井「四六版だとキビシイけど新書判にすればいけるかな、ていう世界じゃないですからね。内容さえよければ100万部いくってものでもないし。」

沼田「やっぱりターゲットの設定ですよね。それにしたって、それくらいのベースを持ってないといけませんから。そういうわけでまずは10万部を狙っているんですが、やっぱり難しいですね。本は今売れないし、本屋にも並ばなかったりするし。」

臼井「そうなんですよね。私も今年中に本を2冊出そうと思っているんですが、10万部いくかな..。狙ってはいますけどね、それに近い数字が出せればよしとしようか、みたいな。」

沼田「競争ですね(笑)。あと、これは夢みたいな話かもしれませんが、“億万長者メーカー”になりたいんです、億万長者を作る人。自分は億万長者になりたくないです。」

臼井「ご自身では億万長者にならなくていいんですか?」

沼田「私はプランニングがしたい人で、プランニングというのはお金が貯まらないものなんですね。目の前をお金が通り過ぎていくけど、自分の懐には入ってこない。これが自分の懐に入ってくると、プランニングはうまくいかないものなんです。」

臼井「すごくわかりますね。」

沼田「お金というのは魔力を持ってますから、できるだけ敬遠して(笑)」

臼井「億万長者を作るプランニングをして、自分はそれなりに稼げればいいと。」

沼田「生活に困らない程度にね。最終的には10年後を目標に、プランニングで億万長者10人、そこまで本格的じゃなくてちょこっと関わった程度を含めると100人くらいの億万長者を作れるといいかな、なんて。」

臼井「日テレの『史上最強の億万長者』という番組に出させていただいて、何人かの億万長者とお話しましたが、みなさん初めから億万長者になろうと思ってやってるわけではないんですよね。自分のやりたいこと、気持ちいいことをやっているうちに億万長者になってたらしいです。ただ、今はそうはいかないんですよね。」

沼田「以前だったらそれでもよかったんですが、ネットが出てきたことによって、“なんとなく”という部分は淘汰されてきていますよね。」

臼井「そう、だからこそのプランニングなんですよね。きっちりしたプランを立てることができれば、億万長者にも手が届くんじゃないでしょうか。」

沼田「プランニングで重要なものは、結局エレメントなんですよね。自分が気持ちよくて、それがお客様のニーズにも合致していること。その世界を作り上げられること。そのエレメントを持っている人に出会うのは本当に難しいです。」

臼井「無から有というのはできないですからね。テレビ番組と一緒でネタありきというか、10のエレメントが必要であれば、最低でも5くらいはないといけない。」

沼田「そう。話を聞いていると、それがあるかどうかは見えてくるんですね。勉強してるだけの人は、ほとんど持っていないですね。」

臼井「いろいろな人と会って、いろいろな話をすることからですよね、まずは。」

沼田「私自身でもそこがおろそかになってた部分があるので、もう一度そこから始めてみようかと思っています。」





臼井「マイブーム、趣味と言うか、凝っていることってありますか?」

沼田「うーん、あんまりないですね...。結構飽きっぽい方なんで、ちょっとやるともう飽きちゃうんですね。」

臼井「好奇心旺盛ってことですか?」

沼田「そうですね。最近はまってたのが、女性が気に入るものを追いかけること。例えば、中国茶だったり、アロマだったり、ビーズだったり。」

臼井「ご自分でもビーズ手芸をやられたりするんですか?」

沼田「意外にうまいんですよ(笑)。なぜビーズを始めたかというと、ビーズを取り扱うホームページの鑑定を引き受けたことがありまして、とにかくアクセスが多いんです、そのページ。なんでこんなものがこんなに売れるんだろうと気になって、自分でもキットを買って作ってみたんです。そしたら、意外にも楽しくて...」

臼井「すごいですよね、まずはご自分でやってみて、そこから分析して。」

沼田「端から見てると、そんなのおもしろいわけないじゃんってものが流行っている。それをわからない自分が不思議だから、そこに興味をもってしまって入っていく、っていうのがパターンですね。」

臼井「私と似てる。私は、他の人が簡単にできることを、できない自分が許せないんですよ。もしかして、一生懸命やってないだけじゃないかしら、って感じでやってみるんですよ。で、以前やった時には入り込んでなかったことがわかって、集中してやったらできちゃう。ああできた、ってはまっちゃうんですよ。」

沼田「誰しもが陥りやすいポイントなんですが、“知ってる”て怖いですよね。“知ってる”からやらない。」

臼井「それそれ。“知ってる”と“できる”は違うし、“できる”と思い込んじゃうとできない。」

沼田「“やればできるんだよ”も違いますよね。そんなこと言ってる人は、まず間違いなく“できない”。まだ知らない人の方が可能性ありますね。」

臼井「無から入っていく方が素直になれますしね。で、自分は不器用だと思っていた人が意外に器用だったりして。」

沼田「私も不器用な口なんですが、多少のデザインセンスを持ってるものですから、自分で言うのもなんですが、結構いいのができるんですよ。それが楽しいですね。人にあげて喜んでもらったりして。」

臼井「私もね、基本的にもの作りの人だから、完成させることがうれしくてはまっちゃいました。」

沼田「私の場合は、人の興味に興味があるって感じ。なぜこれがこんなに流行ってるんだろう、と思ったら、やらずにはいられなくて。」

臼井「それはきっと正しい興味の持ち方ですよね。マイブームと言ったって、ずっと続くわけじゃないし。そうやって興味を持つことが、プランニングというお仕事にも活かされているでしょうし。」

沼田「そうですね。」

臼井「今日はいろいろなお話ができて本当に楽しかったです。経営者という立場としてのお話もお伺いしたんですが、主に『ものを作る』ということに関してお話ができたと思います。この対談コーナー、私がしゃべれる限りは続けていきたいと思っているんですが、いつかはまとめて本にするなりしたいと考えています。その際にはぜひプランニングをお願いします(笑)」

沼田「わかりました、ぜひぜひ(笑)」

臼井「そんなわけで、今回は株式会社天野プランニングプロダクション代表取締役の沼田裕さまをお迎えしました。今年中に発行部数10万部のご本を出されるご予定です。」

沼田「がんばります(笑)」

臼井「私も負けないようにがんばります(笑)。今日は本当にありがとうございました。」

沼田
「ありがとうございました。」


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