ドクターユキオフィストップ >> ようこそ! ドクターユキオフィスへ >>大村 あつし氏

臼井「夢を叶えられた大村先生を見ていてすごく誇らしいというか、そういう人と知り合いになっている自分を誇らしく思います。」
大村「そんな大層な人間じゃないんですけど、でも『エブリ リトル シング』を出す前に『人生は数式で考えるとうまくいく』という自己啓発書を出していて、そこでもこんなことを書きました。」
大村「 例えばサイコロを1億回振って、全部1を出すというのは絶対不可能ですよね。もちろん、数学的に言えば全部1が出る確率は存在しているわけですけど、でも実際には不可能です。 だけど、例えば人生における当たりくじというのは、必ず当たる人がいるわけですよね。僕たちは確率の話をするときに、1億本のくじの中に1本だけ当たりがある「1億分の1」と、サイコロで同じ目を出す「1億分の1」をどちらも同じように考えてしまいますけど、これは全然別物なんです。」
大村「片方は不可能な確率で、片方は絶対に誰かが幸運に当たる確率なんです。実際に本を出せる確率は「1億分の1」よりはるかに高いわけですから、トライアンドエラーを繰り返していれば、いつかは当たるということです。」
大村「 くじを引いて、いきなり当たる人もいると思うし、10年かかる人もいると思います。だけど、くじというのは必ず当たるんです。ですから、世の中には確率論に惑わされてしまっている人が多いなと思います。」
-ユキ’s eye-
起業をする人にも当てはまるお話しですね。よく「ニッチを探れ」とか「スキマを狙え」なんて言いながら、「もうどうせあれは流行っちゃっているから、やってもダメだ」とか、やらないで決めてしまうことがありますね。「以前、この分野をやって失敗したから、今度もダメに違いない」などと、トライしないで心でエラーを決めてしまう人が多いと思うんです。起業をする方の失敗例は、それが割と多いんじゃないでしょうか。
もちろん、たまたま一回目のトライで花が開く特別な人もいるでしょう。でも、その幻想にみんな惑わされてしまって、そういう人ばかり見てしまっている気がします。100回エラーして、101回目に爆発的に花開く場合だってあるはずなのに、そこは見ないんですよね。
大村先生がおっしゃったことは、トライアンドエラーを繰り返したから今がある、明日がある、明後日もずっとあるということを啓示していると思います。
臼井「現在は、「起業ブーム」とも言われていますが、私や大村先生のころと比べると、すごく起業しやすい土壌になってますよね。こういう現状を見ていてどう思いますか。」
大村「非常に素晴らしいことだと思います。僕は26歳のときに会社を興しましたが、今26歳で会社を興しても珍しくないですよね。もちろん60歳の人に勝てない部分はあるでしょうが、26歳と言えば、少なくとも会社で3、4年経験を積んで、きちんとノウハウも持っているわけです。その若さとか柔軟な発想力が認められる世の中になったというのは素晴らしいですし、うらやましいと思いますね。」
大村「 何しろ僕が会社をつくったときには、お遊びとしてしか見られないというか、全然相手にしてもらえませんでしたからね。社長という名刺以外に部長という名刺も作っていたくらいです。童顔だったこともあって、箸にも棒にもかからない状況でした。まだ終身雇用、年功序列の時代でしたし、会社に定年までご奉公しないのは犯罪者だくらいの世の中でしたからね。
大村「 でも今はチャレンジできる時代ですから、どんどんチャレンジして欲しいですね。『エブリ リトル シング』は全6話のオムニバス形式の小説ですが、第3話「アフター・ザ・プロム」の中にこういう台詞があるんです。「そもそも人生に失敗なんてない。もし人生に唯一失敗があるとしたら、それは失敗すらできないこと。『失敗が不満』そんなのは錯覚だ。失敗を恐れて挑戦しない自分が不満の正体だ」野球部の監督がこう言って、「大丈夫、人生は負けないようにできているんだぞ」と部員に伝えるシーンがあるんです。起業家にとって一番のリスクは何かというと、自分がチャレンジしたいと思うことにチャレンジしないことだと思うんです。チャレンジすることがなぜリスクなのかが、正直僕には全く理解できません。」
大村「 カーネルサンダースだって、自分が編み出したケンタッキーフライドチキンのレシピを持ってフランチャイズの契約を交渉したんですけど、1000回以上断られているわけですから。しかも、それを始めたのが65歳なんですよ。だから、日本人はちょっと年齢にとらわれすぎですけど、チャレンジするのに年齢を気にする必要なんてないと思います。心は歳をとらないのですから。
」
-ユキ’s eye-
私は33歳で起業しましたが、女性ということもあって、当時は社長の名刺を出しても相手にされませんでした。でも、今こそ本当に自分がやりたいことがあったら封印しないでどんどんやれる時代だと思います。未だに年齢や世間体にこだわる人が結構いますが、何か物事ができない理由を年齢のせいにしたり、世間体を考えてやりたいことをごまかしたりするのは本当にもったいないことだと思います。
臼井「ところで、大村先生がプライベートで今特に凝っていること、マイブームってありますか。」

大村「正直なところ、今はまったくないです。本は書いたらおしまいでしょ、って世間の方は思っていますけど、書くだけでいいというのは、いわゆる大作家の先生だけなんです。そういう作家さんは、出版社がある程度の予算を取ってくれて、発売日と同時に新聞広告が出たりしますが、僕みたいな作家の場合、出た後が大変なんですよね。」
大村「 この本をいかにして売るか、たくさんの人に読んでいただくかを考える必要があるわけです。今は、たまたま発行が2冊重なったこともあって、寝るというよりも気絶しているか仕事しているかという感じです。」
大村「 例えば10分時間が空いたなと思ったら、近所の書店にお客さんのふりをして行って、例えば棚差しになっている本を平積みにしたり。『エブリ リトル シング』の場合は、梨花さんが帯に推薦をくださっているので、例えば書店員さんにこう言うんです。「いやー、僕は梨花さんのファンなんですけど、棚に差してあったら梨花さんの顔が隠れちゃうじゃないですか」と。そうすると書店員さんも、「ああそうか、そうやって本を買いに来る人もいるんだ」と思ってくれるわけです。実際に、翌日行ってみると平積みになっていたりするんですよ。だから、今はある意味そういうことがマイブームですね。」
大村「 ただ、ある程度仕事が落ち着いたら、犬を飼うのと、昔やっていたバンド活動を再開したいなと思ってます。音楽は職業になるほど上手じゃないことは分かりましたけど、趣味としてやる分には恥ずかしくないくらいの練習を積んできていますので、月に1回ライブが出来るくらいのバンド活動はしたいですね。
」
-ユキ’s eye-
世の中に、いかに自分のメッセージを伝えるかの戦略を考えることって大切ですね。伝えたいイメージを形にすることが第一ですが、やはりそれが受け入れられてこそですからね。伝えるといっても、いろいろな手段がありますから、どれが一番効果的なのかを見極めるセンスも求められます。この発信する能力というのは、どんな仕事にも求められるポイントだと思います。
臼井「『エブリ リトル シング』のあとに刊行された最新作についてお聞かせください。」
大村「新作は『無限ループ』(幻冬舎刊)というSFミステリーです。SFミステリーではありますけど、多かれ少なかれやはり自己啓発の意味を持っていると思っています。」
大村「 簡単にあらすじをお話しますと、主人公が箱の上に手をのせて、自分の憎んでいる人の顔──例えば僕が臼井先生を90%くらい嫌いだとすると臼井先生の顔──を思い浮かべると、臼井先生の財産の90%が僕の押し入れに表れるんです。それで、先生の財産はその分減るわけです。主人公はサラリーマンですから、やはり嫌いな上司や同僚がいます。彼らに対する復讐をかねて、財産を奪っていくわけです。」
大村「 そうすると、まじめだけが取り柄だった主人公の自我が変容していきます。もっと大金がほしいと思ったり、サラリーマン相手に怒るんじゃなくて、ヒルズに住んでいるようなIT社長からお金を奪おうとするわけです。ただヒルズに住んでいる人をターゲットにしても、怒らなきゃしょうがないので、いかにして怒るか、いかにしてお金を奪うかを考えるのですが、そのことでだんだんと精神的におかしくなってしまうわけですね。その主人公は奪うことと怒ることで自分を見失ってしまいます。怒るということはそもそも、直火にかけた鉄棒をにぎるようなもので、やけどをするのは自分だと思うんです。それなのに、主人公はそういうことも忘れてしまって、奪うことと怒ることだけを考えています。 そしてその行為の対局にあるのは愛ですよね。」
大村「ですから、物語の中には親子愛や男女の愛というものが出てきて、その狭間の中で最終的に主人公はどうなるのかという展開が見所になっています。この話の中で、結局僕が一番問いたかったのは、お金って言うのはそもそも人に商品なりサービスなりを提供して、そうやって社会とかかわりを持って行く中で、その対価としていただくものであるということです。ビジネス書はそういうことを文章で書けばいいわけですけども、SFミステリーを通して「確かにお金ってそういうものだよね。怒って人から奪い取るものじゃないよね」ってわかるところが小説の面白いところだと思います。」
-ユキ’s eye-
お金があれば、人はある程度ついてきます。ただ、お金だけの人は、お金がなくなったら人が離れていってしまいます。でも、その人に愛とか思いやりとか尊敬できる要素が満ちあふれているとすれば、仮に何かの理由でお金を失ったとしても、その人は誰からも見捨てられず、周りの人もずっとついていきますよね。そういうことは実際のビジネス社会では日常茶飯事なんです。大村先生は、やはりビジネス社会にいらっしゃったからこそ、こういう物語が書けるんじゃないかなと思います。
臼井「今自分がやりたいことが見えて、実現に向けてどんどん着実に歩んでいらっしゃると思いますが、今後はどういうものを書いていきたいとお考えでしょうか。」
大村「2つありまして、1つはメッセージ色の強い、ちょっとハートウォーミングな物語です。『エブリ リトル シング』はまさしくそういう本ですね。」
大村「 そしてもう1つは、トリック満載のミステリー。『無限ループ』のような本ですね。そもそも、あれもこれも書けるほどの作家ではないし、やはり最初に大村ワールドみたいなものを作って、固定ファンを獲得したいと考えています。」
大村「 僕が目標にしている作家は、乙一さんです。彼はホラー小説でデビューして、ずっとホラーを書いていたんですけど、途中からものすごいせつない作品を書くようになって、あるときは「ホラーの俊英」って紹介されたり、あるときは「せつなさの達人」って言われたりする作家です。どちらを書いても素晴らしいし、ファンに支持されているんですね。」
大村「 ですから、僕の場合も、ハートウォーミングな話を書くのも大村あつしだし、トリック満載のミステリーを書くのも大村あつしである、と。できれば、これから本を出すごとに、両方の作品を愛してくれる固定ファンを増やしていきたいなと思いますね。
」
-ユキ’s eye-
とても楽しみですね。やりたいことがはっきりしていて、確信をお持ちなんだなと感じました。本は出た瞬間から一人歩きするものなので、大村先生の本を読んだ読者から読者へと「大村あつしって面白いぞ」とか「この本なんかいいぞ」という波紋がどんどん広がっていくと思います。すごく期待しています。

-ユキの編集後記-
今回はトライアンドエラーの大切さを再確認しました。動いた結果の失敗は経験として残りますが、動かない失敗は何も残りません。だから、失敗を怖がって何もしないことの方がはるかに損をしていると思います。
何かを始めるのに年齢なんて関係ないですが、若ければしがらみもないし、抱えているものも少ないはず。どんどんトライしてエラーして、またトライしてほしいですね。ずっと失敗が続くなんてことはありませんからね。
ところで、実は私も昔バンドをやっていて、知り合いにも楽器が出来る人が結構います。いつか大村先生と「作家バンド」でも結成して、出版パーティを盛り上げてみたいですね。大村先生、どうでしょうか?
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